ザ・ノンフィクション
母と息子のやさしいごはん2〜僕と母さん 時々父さん〜後編 (2024x31)
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息子のために母がつくった店は、いつしか家族みんなの「大切な居場所」になっていた。
東京・護国寺にある「酒・食事処 大(たい)」。調理担当の息子・大貴さん(31)と接客担当の母・貴美子さん(67)の二人三脚で営む店は、こだわり抜いた日本酒と自慢の一品料理が売りだ。
発達障害があり、人と接するのが苦手だが、料理は大好きな息子のために、母が食堂を開店したのは2020年1月。コロナ禍に見舞われる直前のこと。人々の外出さえ自粛が続いた時期に経営は赤字続き…わずか2年で閉店することになった。
それでも母は「息子が料理だけで生きていけるように」と2022年5月、夜も営業する料理店として新たな店をオープン。しかし、採算が取れない高価な食材を使う息子のこだわりは変わらず、売り上げは伸びない。さらに、これまで経済的に店を支えてきた父・充明さん(84)が高齢のため歯科医を辞めることに…「もう失敗はできない」家族3人の生活は店の売り上げに掛かっているのだ。
母子の再出発から1年半…少しずつお客さんも増え始め、「自分も何か力になりたい」と、父も店を手伝い始める。店の経営がなんとか軌道に乗り始めようとする矢先、突然、天井から水漏れ。さらに状態は悪化し、店は長期休業を余儀なくされる。
再開のめどがまったく立たず、一家が途方に暮れる中で、母・貴美子さんは、この店を守るために、大きな決断を下すのだが…
【語り】永作博美