ザ・ノンフィクション
母と息子のやさしいごはん2~僕と母さん 時々父さん~前編 (2024x30)
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母と息子にとって、この小さな料理店は、絶対に守らなければいけない大切な居場所…
東京・護国寺にある「酒・食事処 大(たい)」。調理担当の息子・大貴さん(31)と接客担当の母・貴美子さん(67)の二人三脚で営む店には、自家製デミグラスソースを掛けた名物のハンバーグを目当てに、お昼時は多くの客が訪れる。
幼い頃から成績優秀だった大貴さんは、中学生の時、突然の不登校に。その後、発達障害の診断を受け、自宅に引きこもる日々を送っていた。そんな大貴さんを変えたのが、初めて作った料理…母が喜んでくれたことをきっかけに料理人の道を歩み始めた。その姿を一番近くで見ていた母は「大貴が思う存分、料理が作れる場所を…」と、2020年1月、文京区・本郷に食堂を開店させたのだ。ところが、開店直後からのコロナ禍で、店の経営は火の車…わずか2年で閉店することに。
一度は居場所をなくした大貴さんだったが、ディナーメニューを研究し、日本酒も取り揃えた本格的な飲食店として、母と新たな店をオープンさせたのだ。しかし、採算のとれない食材を使おうとする大貴さんのこだわりは変わらず、売り上げは伸びずじまい…
そんな中、これまで店の赤字を補填し、経済的にサポートしてくれていた父・充明さん(84)が、高齢のため歯科医を廃業することに…「今度こそは、この店を軌道に乗せなくてはならない」…大きな後ろ盾を失った母と息子の再出発の行方は…
【語り】永作博美