ザ・ノンフィクション
山本さんちの食卓 ~笑いと涙のサポートハウス~ 後編 (2023x39)
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今夜もこの家の食卓には、心尽くしの手料理が並ぶ。
石川県金沢市の住宅街にある古びた一軒家。ここでは、20代から70代の男女7人が、一つ屋根の下で生活を共にしている。全員が血縁関係のない“他人同士”だ。障害や家庭の問題などで居場所を失った3人の若者たち。そして、彼らを見守る大人たち。毎晩、一緒に囲む食卓が、家族ではない彼らをつないでいた。
家の主は“おばちゃん”こと山本実千代さん(62)。この家を「サポートハウス」、通称「サポハ」と名付け、複雑な事情を抱えた若者たちを受け入れてきた。彼女が何より大切にしているのが「食事」。「生きることは食べること。食べることは生きること」が信念。若者たちは、毎晩全員で食べる山本さんの食事に背中を押され、自立を目指している。
2023年夏。住人の1人で、“先生”と親しまれる、元教師の平山さんの体にがんが見つかり、手術を受けることに。障害を抱える息子が中学時代にお世話になり、今も良き話し相手として、常に若者と向き合う山本さんを支えてくれる平山さんの不在…山本さんは、住人たちのささいな失敗にもイラ立ちをみせるほど追い詰められていた。そんな中、サポートハウスでは、また大きな問題が…
みんなで料理を囲むのも、誰かのために料理を作るのも、社会に出るための第一歩。「山本さんちの食卓」で心を再生させていく人々の日々を見つめた。
【語り】飯豊まりえ