ザ・ノンフィクション
東京、タクシー物語。後編~シングルマザーと新人ドライバー~ (2021x16)
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2021年春…緊急事態宣言下の東京の街を走るタクシードライバーがいた。
恭子さん・45歳。6歳の一人娘を持つシングルマザーだ。彼女がタクシー業界に飛び込んだのは3年前。故郷・茨城の映画館で長年働いていた彼女が転職を決意したのは「離婚」が原因だった。当時2歳だった娘の将来を思い「もっと稼げる仕事」を探した結果、行き着いたのが「東京のタクシー運転手」だったのだ。
ところがタクシー業界は、去年からのコロナ禍で倒産、廃業が相次ぎ、多くの運転手が去っていった…その一方で、新たにタクシーの世界に飛び込んでくる若者たちもいる。コロナ禍で就職先を失った人々が、やってくるのだ。150人が所属する会社で女性ドライバーは恭子さん一人。そこに2人の新人女性ドライバーが入社し、恭子さんが指導役を任されることになった。
25歳のちひろさん(仮名)は国立大学出身。コロナ禍で職を失い、30社以上も面接を受け、やっと入れたのがタクシー会社。23歳の直子さん(仮名)は、一流店で働いていた元・料理人。仕事での挫折を機に、タクシー業界の門を叩いた。
希望を胸にタクシードライバーとして走り出す2人の女性。しかし、街に溢れるのは「空車」のタクシーの列。緊急事態宣言で夜の街からは客の姿は消えていった…かつてない苦境に立たされる中で、東京の街を走り続ける3人の女性タクシードライバーの生き様をカメラは追った。