ザ・ノンフィクション
東京、タクシー物語。前編 ~コロナとシングルマザーの運転手~ (2021x15)
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2021年春…緊急事態宣言下の東京の街を走るタクシードライバーがいた。
恭子さん・45歳。6歳の一人娘を持つシングルマザーだ。彼女がタクシー業界に飛び込んだのは3年前。故郷・茨城の映画館で長年働いていた彼女が転職を決意したのは「離婚」が原因だった。当時2歳だった娘の将来を思い「もっと稼げる仕事」を探した結果、行き着いたのが「東京のタクシー運転手」だったのだ。深夜乗務が基本となる仕事では、一人で子育てはできない。タクシー会社が運営する保育園に娘を預けながら、会社が借り上げた部屋に、70歳の母と3人で暮らす日々…
「娘の将来のために…」タクシー運転手へ転身し、収入を確実に増やしていった恭子さんだったが、2020年春…新型コロナが全てを変えてしまった。度重なる緊急事態宣言で、街からは人が消え、タクシー運転手の頼みの綱とも言える深夜の乗客も激減してしまったのだ。かつてない大打撃を受けているタクシー業界。恭子さんの月収も以前の半分以下になってしまう。持病を抱える母と暮らす彼女は、コロナに感染する不安とも常に背中合わせ。そんな最悪の2020年を終えて、コロナの終息を願い迎えた2021年は、2度目の緊急事態宣言の発令から始まった…そして4月、3度目の緊急事態宣言。
まったく終わりの見えないコロナ禍の中で、きょうもタクシーを走らせるシングルマザーの闘いを見つめた…