ザ・ノンフィクション
わすれない 僕らが歩んだ震災の10年<後編> (2021x8)
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東日本大震災から丸10年。
あの日に起きたこと、人々を襲った悲しみと苦しみ、失ったものを、「忘れてはいけない」という思いで追い続けているドキュメンタリーシリーズ「わすれない」。今回つづるのは、家族や仲間、故郷を失った少年と少女が歩んできた10年。先週に続く<後編>をお送りする。
「もう取材はこれで…」そう口を開いたのは、石巻・大川小の「てっちゃん」、21歳になった只野哲也さん。全校児童の約7割、74人の幼い命が津波で犠牲になった大川小学校で、多くの仲間と最愛の母・妹・祖父を失いながら奇跡的に助かった彼の10年…向けられるたくさんのカメラとマイク。人々に注目され続け、一挙手一投足までをメディアに取り上げられる日々。そんな哲也は今、苦しみの中にいる。明かされたのは、警察官になるという目標を失い、大学も中退したという事実…
私たちは、そんな彼が歩み、背負ってきた10年を巡る“旅”に出る。そして、初めて語ってくれたのは「このままだと生きているようで生きていないような…」という苦悩だった。
「これからは、誰かのためじゃなく自分のために時間を使いたい。だからもう取材はこれで…」打ち明けてくれた彼の本心。その言葉をあとに、私たちは哲也のもとを離れた。
あれから10年の3月11日をてっちゃんは、どんな気持ちで迎えたのか…