ザ・ノンフィクション
夜だけ開く心の診療所~生きづらい時代の物語~ (2020x17)
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大阪・ミナミの繁華街「アメリカ村」にある「アウルクリニック」。ここは全国でも珍しい、夜だけ診察する、精神科診療所だ。開院して6年、これまで4000人近い患者が訪れている。
「眠れない」「会社でパワハラを受けた」「家族との関係に悩んでいる」「生きている意味が分からない」…。患者の多くは20~40代の若者や働き盛りの世代。会社員、シングルマザー、学生、風俗嬢、LGBT、地下アイドル、外国人、教師、医師……職業も立場も様々な人々が、誰にも相談できない“心の闇”を、夜な夜な打ち明けに来る。
患者と向き合うのは、精神科医・片上徹也(35歳)。若い世代が仕事帰りに気軽に立ち寄れるように、という思いから、若者に人気のアメリカ村に30歳で開院した。
昼間は総合病院の精神科で勤務医として働き、夜はアウルクリニックで院長として患者と向き合う。
一日中、患者の声に耳を傾け続ける片上だが、実は27歳の時、くも膜下出血で倒れ生死の境をさまよっている。なんとか一命をとりとめ、懸命のリハビリで医師として復帰したが、左半身の麻痺が後遺症として残った。しかし、自身のハンデを言い訳にすることはなく、逆に自虐ネタで塞ぎ込む患者を少しでも和ませようとする。
「どうすれば患者に寄り添うことができて、気持ちを楽にさせられるか」
心の闇を抱えた若者たちに、ハンディキャップを背負った若き精神科医が向き合う。そんな“夜だけ開く心の診療所”を追いかけた。