ザ・ノンフィクション
花子と先生の18年 ~人生を変えた犬~ 前編 (2020x15)
:
出会いは18年前…東京・杉並でハナ動物病院の院長を務める獣医師の太田快作さん(40)と愛犬の花子。
太田さんは、野良猫や捨て犬など飼い主のいない動物の治療を積極的に行っている。「獣医師が動物保護の先頭に立つべき」と考え、一般診療の他に、野良猫、捨て犬など飼い主のいない動物や福島で被災した犬と猫などの治療も引き受けている。
そんな太田さんにとってかけがえのない存在が花子(18)だ。人間なら100歳近い高齢で、一緒に病院に出勤し、診療中も花子を見守っている。花子は病院のアイドル犬でもあり、看護師や患者から愛されている。太田さんは獣医学部の学生の時、花子を青森の保健所から引き取った。それがきっかけとなり、人間の犠牲になる動物の命について、深く考えるようになった。当時、獣医師になるためには「外科実習」という生体を使った動物実験が行われていたが、太田さんは拒否。欧米の大学で一般的な「動物実験代替法」によって、単位を取得した。かなり異例のことだった。
休みの日は、ほとんどを動物保護にあてる太田さん。千葉へ野良猫の避妊去勢手術へ出かけ、埼玉では、犬71匹の多頭飼育崩壊現場へ行き、手術を行うなど、365日24時間を動物に捧げている。
そんな時、花子が突然倒れた。高齢のため手術をすることはできない。病院での診療を続けながら、花子の介護を始める太田さん。その献身的な日々に密着した。