ザ・ノンフィクション
就職先はさる軍団 ~師匠と弟子と新入社員~ (2020x9)
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去年春、7人の若者が「令和初の新入社員」として会社員生活をスタートさせた。
その会社は、株式会社モンキーエンタープライズ。栃木・日光市にある「日光さる軍団劇場」を運営する会社である。「反省ザル」でおなじみの村﨑太郎さん(59)率いる19人の猿まわし芸人が所属する「さる軍団」も今や立派な会社組織。入社後に“猿まわし”となることを目指す新入社員も「週休2日のシフト制」厳守。1000年続く伝統芸能の世界も、押し寄せる“働き方改革”の波に揉まれ、大きく揺れていた…
猿と家族同然に過ごし、師匠から弟子へと厳しい指導で受け継がれてきた伝統のスタイルは今や昔…令和の新入社員は、芸の道へ「入門」するのではなく、エンターテインメント企業に「入社」したのだ。
「なんであんなにペコペコしなきゃいけないのかなあ」とボヤくのは、ダンスが得意でオシャレ好きな小林夢子(21)。師匠や先輩たちとの飲み会は苦手なのは、ゲームと貯金が趣味の吉澤佑哉(21)。伝統芸や師弟関係など無縁の世界で生きてきた彼らは、この会社で、猿まわしの芸を極めることになったのだ。
そんな彼らの最初の大舞台は、パートナーの猿が決まってから半年後に行われる「新人発表会」。日々、指導役の叱咤激励を受けながら、稽古に励むのだが、そんな矢先に事件は起きる。新入社員の一人が、突然、劇場から姿を消したのだ…