ザ・ノンフィクション
ワケあって…坂口杏里 (2019x23)
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坂口杏里とは、フィクションかノンフィクションか…
レンズ越しに彼女を観察し続けると、時々わからなくなることがあった。
たった28年間の生き様を、これほどまでに切り売りしてきた人を私は知らない。
『大女優、坂口良子の娘』その“星の元”を売りに芸能界デビュー。
母・良子は、旅立つ日がそう遠くないことを悟っていたかのように娘を必死で売り込んだ。
杏里の世間知らずなキャラクターはクイズ番組やバラエティ番組に引っ張りだこに。
その“おバカキャラ”が消費され尽くすと今度は“炎上タレント”として注目を集めた。
ところが、2017年4月―
その時杏里には、たった3万円すらなかった。
恐喝事件を起こし逮捕されると、芸能界に彼女の戻る席はもうなかった。
『元・芸能人 坂口杏里』の転落ぶりは、ますます人々の興味をそそった。
私も最初は、その見事なまでの転落人生に好奇の目を向けていた一人だったのかもしれない。
撮影を始めたのは昨年6月。
ストリップの殿堂「浅草ロック座」でデビューするという彼女を追い始めていた。
ところが…ストリッパー坂口杏里の踊る姿を収めたのが
私のカメラだけになろうとは、その時は思いもしなかった。
この頃杏里はワケあって、夜の世界から抜け出せずに、一人苦しみもがいていた。
それから1年に渡り、彼女に何かが起きると私はその“裏”を記録し続けた。
一方、“表”ではネットのニュースが杏里の話題を手に入れては放出する。
そんなことが何度となく繰り返された。
ある夜、私の携帯が受信したのは彼女からの『遺書』。
生きることすら放棄した杏里を奮い立たせたのは、亡き母・坂口良子が残したものだった。
坂口杏里とは、フィクションかノンフィクションか…
あなたの目にはどう映るだろうか。