ザ・ノンフィクション
新宿二丁目の深夜食堂~人生を奏でるビール瓶~特別編 前編 (2024x28)
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新宿二丁目の深夜食堂が53年の営業を終えた2023年夏の終わり。あれから約1年、あの名物ママは今…
深夜食堂「クイン」が開店するのは、日付が変わった午前0時。閉店する午前9時まで客足は絶えない。多くの客の目的は、名物ママのりっちゃん(当時77歳)に会うこと。恋愛の悩みや人生相談など悩みをぶつければ、返ってくるのは優しいアドバイスや、時に厳しい叱咤激励…心の中にポッカリ空いた穴を埋めてくれるのだ。そして、夫である孝道さん(当時77歳)が作る焼き魚やハンバーグ、おにぎりに500円定食など、安くて温かな家庭料理がお腹を満たしてくれるのだ。
2023年夏。客が引けた店内で語り合うのは「夫婦の今後」について。すでに夫婦の体力は限界。それでも「辞めないで」という“二丁目の住人”たちの声に応え「1年後に迫った店の賃貸契約の更新までは…」と満身そういの体で営業を続けていた。しかし、りっちゃんの座骨神経痛は悪化。さらに孝道さんが、この夏の記録的猛暑で倒れ、救急車で運ばれる事態に…店は臨時休業を余儀なくされた。
店を再開してから1カ月…入口の壁に張られたのは「閉店のお知らせ」。夫婦は、1年後の賃貸契約更新を待たずして、2023年9月末に閉店することを決めたのだ。突然の知らせに驚き、涙する常連客たち。
53年の歴史に終止符を打つ深夜食堂。名物夫婦「最後の1日」へのカウントダウンの日々を見つめた…
【語り】吉田羊