新日本風土記
漬物 (2015x4)
: 13, 2015
白いごはんといえば、食べたくなるのが「漬物」。
日本人の食卓に欠かせない漬物は、有史以前から作られてきた長い歴史をもつ加工食品だ。食材を漬け込むことで保存性を高め、しかもおいしくすることができる。「漬ける」という手段を獲得したことは、人々が生きる大きな助けとなった。
そして、日本列島の変化に富んだ地形と気候が、地方ごとに特徴のある多様な漬物の味わいを生み出してきた。その土地でとれる食材に塩を入れ、発酵の力を借りて人は漬物を漬ける。寒風にさらされ、煙でいぶされる大根。色を変え、形を変えどんな場所でも生育するかぶは、各地で人々の命を繋ぐ糧となってきた。時に漬物は、生活を助ける現金収入ともなった。100年受け継がれてきたぬか床は、今も家族の食卓を笑顔にする。
作物を収穫できなくなる冬を越すために欠かせない保存食、漬物。
秋から冬へ、漬物を通して、それぞれの土地で生きる人々の姿を見つめる。
<オムニバス項目(抜粋)>
●北海道・にしん漬 にしん漁で繁栄した町で、今もにしん漬を囲んで泣いたり笑ったり。
●福岡・ぬか漬 100年続くぬか床をもつ小倉の4世代家族。
●長野・野沢菜漬 スキー客の口コミで全国区になった本場だけで味わえるおいしさ。
●広島・広島菜漬 戦後を生る支えとなった地元の特産品。
●秋田・いぶりがっこ 味を競い合うライバル物語。